『MOON CHILD―鎮魂歌(レクイエム)篇』Gackt(角川文庫) ’06 1/17

評価;A

映画『MOON CHILD』の続編・・・・・・・なんですか?
(いや、映画見たことないんで)
がっくんの初の小説。
読んでいる感じとしては個人HPで読む小説みたいでした。
や、なんか、登場人物たちのいい人っぷりがね、
やっぱりお話の中の人たちだなぁって・・・。
敵役が出て来ないんですよね。
それぞれが属する立場が違うから、そこには戦いが起こってしまう。
平和を求める現代人と共通する観念がそこには流れてるのですが、
最低でも自国の利益のみを考えて戦争を仕掛ける某大国とは全く違い、
個々が自分の守るべきもの、守るべき立場のために戦っている、
というところが(本来はそんな考えを持ってはいけないんだけれど、それでも
そういう世の中に育った私たちとっては、)非現実的に感じる。
・・・矛盾ですよねぇ。

舞台は2030年代の台湾。ここにはアジア経済の復興を目指すため、
アジア合同で、経済特区都市マレッパが作られた。
しかし、多くの移民を迎え入れたこの土地は、現地人、移民などの抗争が続き、
治安は悪化する一方であった。
そんな土地で生まれ育ったルポライターのリン・ケイヨウは毎日を無力に
生きていたが、 ある日孫定賢(ソン・ディンシェン)という男に出会い、
彼に惹かれ、生きる意味を見出していく。
そしてリンはルポライターの仕事を通して、多くの友人を得るが、
彼らはそれぞれ立場が違う上に、やがて抗争も激化し・・・。

ってな内容です。
映画を見てないから言えるのかも知れないけれど、私の中では
リン→木村さん、孫→中居さんに思えて仕方ないです。
で、副編集長が貴さん。(笑)

孫素敵です。めちゃくちゃ格好いい。
でも内面では結構弱いキャラだと思います。
だからこそ、普段は感情を隠した“冷たい目”をした人物でも、
心を許したリンの前では“無邪気”になれるんだと。
作中ではリンの孫好きっぷりがいっぱい描かれてます。
いや、リンだけではなく、孫もリンのことめちゃめちゃ好きみたいですけどね。
リンが日本へ出張に行くからしばらく会えないってなった時も、
孫はわざわざ空港まで見送りに来て、二人で別れを惜しんで泣いてるし、
リンは孫のことを“遠距離恋愛をしている恋人みたい”って評してるし。
仲がいいのね、お二人さん。(笑)
でも、そんな二人だからこそ、楽しい場面で微笑ましくさせてくれるかわりに、
切ない場面では読んでいるこちらまで辛く感じてしまう。

あぁ、この作品は感情移入しやすい小説なのかも。
どの登場人物にも感情移入してしまうからこそ、物語の世界に入っていけると同時に
全ての登場人物の感情を理解して第三者的な視線で見ることも出来る。

なかなか興味深い小説です。

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