詩三篇

2007年7月4日
大学の授業で発表した作品たち。


「ある小さき愛」

東の山に太陽が昇る頃
青年は闇から生まれ出でた

最初青年は冠を欲した
月桂樹は王冠に変えられることを
それは無造作に歌われる概念だった

次に青年は武器を欲した
かの人を守るための
敵はかの人の祖国でありまた自らの大地でもあった

最後に青年は真実を欲した
かの人の裏切りであろうと
心乱れることはない
敵はかの人の祖国でありまた自らの大地であった

西の海に太陽が沈む頃
青年はかの人を抱き
闇により葬られた
ともに光になることの歓喜を抱きながら
ともに我われについて虚しく問いながら

地上での破滅の代償として
二人は光明に満ちた楽園へと身を捧げた
それを幸せであるとある人は言う


「翼」

数万の鋭い刃の中でも
数十万の凍るような空気の中でも
たった一つの温かい手のために
傷付くことさえ恐れずに
僕は翼を広げられる

鏡の中の僕は
晴れやかな顔で笑っている
背中の翼を力一杯広げて

百年分の想い出ほど輝いた記憶を
この瞬間に刻み込む
もう大丈夫

百年分の憧れほど高鳴った鼓動を
この瞬間に打ち鳴らす
やるしかない

百年分の情熱ほど焼けついた想いを
出し惜しみなんてしない

今こそ飛び立つ時


「ベリーズ」

「ベリーズに行こう」
「ベリーズ?」
「楽園なんだ」

青と白と緑の世界らしい
人びとは温かく
悲しみは存在しないらしい

赤と黒と灰に塗れたこことはどれほどの差だろう
ただ耳に響くのは泣き声と笑い声
そして ああ

本当に、一緒に行きたかった

※ベリーズ
  カリブ海に面する中央アメリカの小国。


「アイーダ」「SMAP」「ヴィゴ・モーテンセン」を思い出された方、あなたは正しいです。

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