『腐りゆく天使』夢枕 獏(文春文庫) ’06 12/17

評価l;B

某巨大ブログサイトの某コミュニティで「病んでる小説」の上位に名前があがる作品だったので、興味本位で読んでみました。私は別に病んではいないですが、病んでる歌や小説が大好きなのですよ。
それに夢枕さんのファンでもありますからね。

教会の祭壇の後ろの香部屋の中。あるかなしかの微笑を浮かべ、何かを抱くように手を広げ浮いている4メートルの天使。
白い、美しく、全裸の天使。
それが腐っていくのです。白い美しい天使が醜いどろどろの肉塊になって、腐り落ちるのです。肉がずり落ち、目が飛び出て、翼がもげるのです。

詩人、萩原朔太郎。記憶を失った埋められた屍体の魂。美貌の神父。朔太郎の想い人、エレナことS.N子。
視点としては朔太郎と魂と神父の三人だけど、エレナも重要な人物。
神父がいつも見ていた美しい天使が腐り落ち、土の中に埋められている屍体の魂は少年となって地上に現れ、朔太郎は人妻であるエレンの元へ通い、エレンは教会へ行く。
そして一同が教会に集まる時・・・・・。

センチメンタルでエロティックでグロテスクでミステリアス。
熟しきった果実の芳香と臭気にずるずると誘い込まれ、毒気に中てられるような作品でした。
病み付きになる危ない魅力という感じです。

当時読み終わった後に書いた感想が上の文章なんですが、それと同時に「空海思い出しちゃった。」ともその感想のメモに書いてありました。
「なんのこっちゃ?」と思いましたが、まぁ、おそらく神父のことなんでしょう。

正直なところ「美貌の神父」に惹かれて読みました。(笑)

ストーリーの面白さだけでなく、萩原朔太郎のさまざまな詩とオリジナルのストーリーが上手く絡められていて、その構成もまた楽しめました。

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