『エリザベート―愛と死の輪舞』ミヒャエル・クンツェ原作 小池修一郎著 ’07 5/26

評価;B

「A/L」「王家に捧ぐ歌」「エリザベート」と、宝塚三連発です。特に意図していたわけではないんですけどねぇ。

舞台「エリザベート」。
1992年ウィーンの初演以降人気を博し、各国で演じられて来ました。日本では宝塚歌劇団が上演権を獲得し、1996年雪組、1996年星組、1998年宙組、2002年花組、2005年月組、2007年雪組と繰り返し上演されています。
宝塚の舞台としての「エリザベート」の演出家が、この本の著者小池修一郎先生です。
小池先生は今年2007年世界陸上開会式の演出も担当されました。
その時ある意味宝塚代表として歌い踊っていたジェンヌさんたちが、2007年雪組「エリザベート」でトートを演じた水夏希さん率いる雪組男役の面々、5人合わせてAQUA5です。

とりあえずあらすじを書きます。・・・と言っても、あらすじは宝塚の公式HPのバックナンバー(2007年雪組)から頂いて来ました・・・。(すいません、書くのが面倒くさかったので・・・)
あ、これは小説です。「エリザベート」の舞台を文字化したものです。

以下あらすじ。

 19世紀末。ヨーロッパ随一の美貌を謳われた、オーストリア=ハンガリー帝国皇妃エリザベートが、イタリア人アナーキスト、ルイジ・ルキーニに殺害された。ルキーニは独房内で自殺を図る。
 煉獄の裁判所では、犯罪行為から百年も経ったにもかかわらず、ルキーニを未だ尋問している。ルキーニは、エリザベートは死と恋仲だった、エリザベート自身が死を望んでいたと主張する。そして、それを証明するため、エリザベートと同時代を生きた人々を霊廟から呼び起こす。最後にトート(死)が現われ、エリザベートを愛していたと告白する。
 時代は1853年に遡る。少女のエリザベートは、ある日、綱渡りに挑戦しようとしてロープから落ち、意識不明の重体に陥る。冥界に迷い込んだエリザベートにトートは一目で惹きつけられる。トートはエリザベートに生命を返してやる。そしてその愛を得ようと、彼女を追い続ける決意をする。こうして、愛と死の輪舞(ロンド)が始まった。
 ウィーンの宮廷では若き皇帝フランツ・ヨーゼフが、母親である皇太后ゾフィーの助言のもと、広大な国を治めていた。ゾフィーはフランツが彼のいとこのヘレネと結婚することを望んでおり、バート・イシュルでの見合いを計画する。しかし、フランツは一緒に来ていた妹のエリザベートを見初めてしまう。
 1854年、ウィーンで二人の結婚式が行われる。トートは嫉妬を感じつつ、二人を見つめ、そしてついにエリザベートに話しかける、「最後のダンスは私のものだ」と。
 エリザベートの結婚生活は、満足のいくものではなかった。古いしきたり、皇后としての務めをゾフィーに押し付けられたエリザベートは夫に助けを求めるが、フランツは取り合おうとはしなかった。失望したエリザベートにトートは近付き、誘惑する。しかしエリザベートは屈しなかった。結婚2年目に子供が生まれるが、その子さえゾフィーに取り上げられたエリザベートは、ゾフィーに対し次第に憎悪の念を募らせていく。
 一方、赤ん坊にミルクもやれない暮らしを強いられている民衆は、美容のために毎日ミルク風呂に入る皇后に反感を募らせていた。トートはルキーニを煽り、人々を感化させる。ハンガリーの革命家エルマーたちは、革命の気運を高めていく。
 ついに、フランツはエリザベートのすべての要求を受け入れ、エリザベートはゾフィーとの長年の確執に勝利する。エリザベートは「私の人生は私のもの」と言い放つ。そんなエリザベートをトートが見つめていた……。

上に引用したのは宝塚の舞台のあらすじですから、本とは若干異なります。
台詞もニュアンスは同じだけれども正確には違っていました。あとストーリーも違うところもあり、例えば結婚生活第一日目の朝、舞台ではエリザベートは自室で自殺しようとして諦め歌を歌って気を失っていましたが、確か本の方では逃げようと庭を走り泉だか湖だかのほとりで気を失って倒れ、トートに再び部屋へ運ばれていたと思います。

あとですねー、私が気になっているのがマデレーネの存在なんですけど、彼女は一体何者なのか。
ルキーニ曰く「どこかで見たような妖しい美しさ」、そして本の描写では目の色を(正確には覚えていないのですが)「湖の青」というように表現しています。それより前にはまったく同じ表現で、トートの目の色を書いていました。
ということは、マデレーネはトート?・・・ちょ、ちょっと、それはかなり倒錯的すぎ・・・。
と思い、考えるのをやめました。きっと黄泉の国の人たちはみんな目が青くてトートに似た美しさを持っているのでしょう。

宝塚で各組で演じられた「エリザベート」。
私は雪組、宙組、月組、’07年雪組の舞台映像を見たことがあります。
おすすめは水さんがトートを演じられた2007年雪組の「エリザベート」です。
水トートは本当に感情表現豊かで、今までのトップさんトートがおそらく心の中に閉まっていらっしゃった心情が、面にどしどし出ています。正直なところ、今まで見た中で一番わかりやすい「エリザベート」だと思いました。
歌を期待するなら、宙組がおすすめです。姿月あさとさんのトートの歌の上手いことと言ったら!迫力があって、しかも容姿も綺麗で、冷たい感じとか美しさとか、死神らしさがふんだんに出ています。

・・・と、書いてきましたが、「じゃあ一体エリザベートは何で最後トートと結ばれての?」と聞かれたら、私にはさっぱりわかりません。舞台を見ても本を読んでも私にはいまだに理解できていません。
構成も歌も本当に楽しんで見ているんですけどねぇ。
歌はどれも素晴らしいです。使い回しが多いですが、完成度が高い歌ばかりだからこその使い回しだと思うので。

えー、なんだかよくわからない読書記録になってしまいました。・・・まぁ、今更ですね。

とりあえず、面白いのでまだご覧になったことがない方は舞台または舞台映像をどうぞ。そして見た後に小説を読んでください。

さて、次の本は『バッテリー?』。『バッテリー』シリーズ最終巻です。

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