※思いっきりネタばれしてます※

『レオナルドのユダ』服部 まゆみ(角川文庫) ’06 5/10

評価;A

は、半年以上前に読み終わった本ですが・・・・・。

『ダ・ヴィンチ・コード』を読んで一気にレオナルドが好きになり、その影響で読んだ本です。たしか近所の本屋の『〜・コード』の特集コーナーに置いてあったんですよ。で、裏表紙のあらすじを読んだら面白そうだから、ついつい買ってしまった、と。

実はこの本、Amazonでもブクログでも評価が高くないんですね。でも私はとても気に入ったのです。
もともと狂気の愛というテーマが好きだからかもしれません。

さて、この本とは。

神に選ばれし万能の天才―画家にして彫刻家、科学者、医師、音楽家でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチ。気高く優雅な魅力を放つ彼の周りには、様々な人々が集っていた。貴族の跡取り息子でありながら、レオナルドに魅せられて画房の弟子となったフランチェスコ。フランチェスコの使用人でありながらレオナルドに憧れるジャン。絶世の美青年でレオナルドの愛情を一身に受けるサライ。愛するマルカントーニオの信頼を一身に受けるレオナルドを憎み、才能を決して認めようとしない毒舌の人文学者パーオロ。

裏表紙の説明より引用です。
が、この後、「天才レオナルドの魅力を真摯に描き、彼が遺した『モナ・リザ』の謎に迫る、著者渾身の歴史ミステリー。」とも続くのですが、私にはそれは主題でないように感じられてなりません。

偉大すぎるレオナルド・ダ・ヴィンチと接するうちに狂ったように彼に惹かれていく彼の周りの人物たちを描いた作品です。
光から陰が出来るように、「キリスト」から「ユダ」が生まれた。「レオナルドのユダ」もまた然り。その根底に流れるもの、それは共に狂信的偏狂的愛。
一方的な、そしてその愛のためであれば何でもできるという、まぁ周りからすればいわばはた迷惑な愛です。

ところで、話は少しずれますが、太宰治の作品に、「駆け込み訴え」という短編があるんです。
これはユダがイエスに対する思いをひたすら独白しているというものですが、これもまさに狂信的偏狂的愛です。

あの人ただ一人をひたすら想っている自分(ユダ)の気持ちにあの人(イエス)は全く気付いてくれない。こんなに愛しているのに。憎い。
そんなユダには、キリストの謳った真理でさえ、権力者を愚弄するものに思え、そしてそれは、権力者が自身(イエス)を殺すように仕向けている、つまり「自分を殺して欲しい」と訴えているように聞こえる。
殺そう。誰かの手によってではなく、自分の手で。 自分がきっかけとなって。
そして彼が死んだら自分も死のう。自分は彼を憎んでいたから。自分は彼を愛していたから。自分は彼を愛しているから。

20ページの作品なんですが、この直後に「走れメロス」が収録されてるんです。おわかりでしょうが、「走れメロス」とは、国王の反感を買い、死刑を言い渡されたメロスが、「どうしても妹に結婚式を挙げさせてやりたい」という願いを聞いてもらう代わりに、親友のセリヌンティウスに人質に差し出し(セリヌンティウスも了解済み)、三日後の日没までに自分の村へ戻り妹に結婚式をさせ、そして親友を助けるために再び刑場に戻ってくる、というお話です。

「駆け込み訴え」と「走れメロス」。どちらも人と人との繋がり、つまり「愛」を描いた作品です。
それなのにこの差。
一方は極端に偏った愛、一方はこれ以上ないほど純粋な愛。人を殺すことでさえ愛であるという考え方と、相手を信じ続けるという友愛。一人の作家が両極端な愛を描く。この著しく両極端に存在する愛を!
ほんの少しだけ作家に自殺者が多い理由がわかった気もしません?

さてさて、「駆け込み訴え」『レオナルドのユダ』の二作品と「走れメロス」には著しく異なった点が存在します。
それは、話の中心となる人物(「駆け込み訴え」の場合、イエスとユダ。『レオナルドのユダ』の場合、レオナルドとフランチェスコ,ジャン、マルカントーニオとパーオロ。「走れメロス」の場合、メロスとセリヌンティウス)の力関係です。
前者の二作品における登場人物(●●と○○)の間にとてつもない力の差が存在します。しかし後者の二人の立場はあくまで対等です。
前者では、弱者(ユダなど)は相手と並ぶことが出来ないのです。その結果が弱者からの一方的で極端な愛に繋がってしまうのだと思われます。相手があまりに上にいすぎるから、弱者からは手が届かない。そこに「光」と「陰」の関係が生まれるのです。手の届かない相手が「光」だとすると、手を伸ばしている者は何か?「陰」です。
光が存在すると、陰も存在せずを得ない。いや、下の者が光を所望する場合、「陰」にならざるをえないと言った方が正しいかもしれません。それがつまり、「ユダ」を生み出した理由。あまりに力の強い相手を自分のものにするためには、「ユダ」であるしかない。
対等に並ぶことはできない。しかし愛している。その場合取る手段とは、はたから見ると偏狭的な愛に他ならないのです。
『レオナルドのユダ』の「ユダ」とは、その弱者を指します。つまり、 この作品で言われる「レオナルドのユダ」とはフランチェスコとジャンのことであると考えられます。
ところで、逆に後者の場合、メロスたちには「光」と「陰」という概念がありません。力関係が存在しないのです。「光」「陰」で表せないので、どこにいても存在が変わらない、「物体」としてもいいかもしれません。だから対等で、互いを思いやれるのです。
相手との力関係、そこに絶対的な差があるんです。
まぁ、それはどちらが良い悪いの問題ではありませんが。

『レオナルドのユダ』の場合、レオナルドの汚点となる同性愛の事実を、レオナルドに心酔するフランチェスコとジャンは許せなかった。
愛するレオナルドの名が貶められるのであれば、レオナルドが愛した人物でさえ殺せるのです。

あの世のレオナルドは思っていたのではないでしょうか。
「余計なお世話だ」と。

それでも、二人にとっては、光が侵されることは許せないんです。
自分のことよりも断然に。

気持ちがわかるから、というわけではないような気もしますが、この登場人物たちの心情が面白くて面白くて。
それがAの評価を付けた理由です。

そういえば、『レオナルドのユダ』の主題に触れるところですが、この本を読んでいない友人が、「洗礼者聖ヨハネ」を見て、「『モナ・リザ』に似ている」と言いました。
なかなか興味深い発言です。

この本をきっかけに「洗礼者聖ヨハネ」の絵を見てみました。(http://www.salvastyle.com/menu_renaissance/davinci_giovanni.html)
あまりの美しさにしばらく画面から目が離せませんでした。
美しいの一言。怖いぐらいの美しさ。不気味。それでも美しい。
『箱はマのつく水の底!』喬林 知(角川ビーンズ文庫) ’06 5/6

評価;B

次巻が気になる終わり方ですねー。
ムラケンはこっちに飛んできそうだし、ユーちゃんは目が見えなくなったし、ヴォルフはユーちゃんに斬られた(刺された?)し、さて次巻はどうなるのでしょうっ!?
気になるなぁ。
そろそろ出ないかなぁ。
『サン=テグジュペリ 星の言葉』齋藤 孝選・訳(だいわ文庫) ’06 5/6

評価;B

サン=テグジュペリ。『星の王子さま』の作者です。
彼のいろいろな作品での言葉を抜粋して載せている、いわゆる名言集です。
哲学的ではあるけれど、それでもわりかしわかりやすく訳されていますし、なかなか良い本です。

『星の王子さま』との出会いは中三の時見学に行った高校で見た舞台が最初。それから大学一年の時、去年ですね、文庫を読んでみたんです。そしたら、もう面白くて面白くて。
あの一冊の中には、現代の世界や人間像が比喩的に描かれ、その一種の虚構世界を通じて、作者は本人が考える教訓(真実)を読者に伝えているのです。
世間では「童話」だと言われますが、それでも私には十分楽しめましたし、海外作品で一番好きなのではないか、と思うぐらいお気に入りの本です。

今回の本の選者さんは、「孤独な夜に」「ほんとうの友だちに出会うには」「恋をしたら」「「おとな」になるということ」「悩みごとをかかえている人へ」「仕事と誇り」という6つのテーマごとに、それぞれタイトルをつけて十数個ずつ言葉を選んでいます。

私のお気に入りを挙げておきましょう。

「あの人を想って」
もし誰かが
何百万もの星のなかの
たったひとつの星にしかない
一本の花を愛していたなら、
そのたくさんの星をながめるだけで
その人は幸せになれる。

「会えない夜」
愛するとは、
互いに見つめ合うことじゃない。
ふたりで同じ方向を見ることだ。

「見返りは求めない」
希望なく愛することは
絶望ではない。
無限においてしか結ばれないことを
意味するだけだ。
星は途中で消え去りはしない。
与えて、
与えて、
与え尽くすことができる。

「自分ばかり
尽くしている気がしたら」
君がそのバラのために使った時間が、
君のバラを
そんなにも大切なものにしているんだ。

「お母さんとケンカしたとき」
すべてのおとなは、
最初は子どもだったのです
(でも、それを覚えている人は
ほんの少ししかいません)。

「理不尽なことがあっても」
子どもは、おとなを、
大目に見てあげなくちゃいけない。

こんなところです。もちろんその他にもいい言葉はいっぱいありますけどね。

正直言って、机上の空論です。
きっと全てが空想なのです。

それでも、私にはその空想が響くのです。
希望だと感じられます。

だって、彼はこうも言っていますから。

鉱物のつみ重なりである
この地球の上では
空想することは、ひとつの奇跡だ。

『クマよ』星野 道夫(福音館書店) ’06 5/3

評価;C

とんでもなく評価が高い作品・・・・・・らしいです・・・。
「らしいです」とういうのは、正直なところ、私はそんなに
クマに思い入れがないから、なんとも言えないためです。
それは母も同じらしく、二人揃って「なんでこんなに
評価高いんやろ?」と首を捻っています。
・・・・・読解力不足な親子でスイマセン。でも本当にわかんないんだもん。

そんなわけで、私の感想なんて参考にも何にもならないんで、
気になった方はAmazonへどうぞ。
『マクベス』シェイクスピア 福田恒存訳(新潮文庫) ’06 4/27

評価;B

4月読了の本ですか・・・。最近ミクシィをやり始めたもんで、
こっちの日記はとんとご無沙汰です。
ちなみにどうでもいいですけど、マイミク募集中です。
そんなわけで、読書記録のみの更新になってしまいそうです。
(っていうかすでになっています・・・。汗)
SMAPに大々的な何かが起こったら、きっとここに書かずには
おれないでしょうが。最近スマスマでさえ見逃す、
録画し逃す駄目駄目なファンです・・・。

ちょっと気を引き締めないと。

さて、話は戻り、『マクベス』。
私の初シェイクスピアです。
2,3ページで『ロミオとジュリエット』挫折した経験がある私には、
正直読むのが怖かったんですけど、Amazonの評価を見てみると、
シェイクスピアのお話の中で一番読みやすいのは『マクベス』だと
書いてあったので、まぁ、それなら、と手に取ってみました。

『マクベス』を読もうと思ったきっかけは、ショーン・ビーン氏が
この舞台をやっていたから。ショーン・ビーン氏は、そうですねー、
「ロード・オブ・ザ・リング」でのボロミア、「トロイ」のオデュッセウス、
「フライトプラン」の機長さんなどを演じていた方です。
ジョニー・デップ、ヴィゴ・モーテンセンに続き、この方ファンなんです。

解説が全体の三分の一を占めているというのは、本当に読む気が失せます。
っていうか、私の場合、物語は自分的に解釈しますので、
作品を読み終わって、自分的に解釈して満足した直後に他人の考えを
うだうだ読まされるのって、気が滅入ります。
私の解釈が正解か不正解なのかは置いといて。
そんなわけで、今回も解説すっとばしました。

確かに作品中に疑問に思う点はいくつもあるけれども。
・・・やっぱり読むべきなのかなぁ。でもめんどくさ・・・。
気が向いたら読みます。

えーと、『マクベス』、簡単に言えば、罪を重ねて王の座を勝ち取った
マクベス王が、臣下たちの信頼を失い、結局殺される話です。
泥沼に嵌っていく様がなんとも凄まじいです。

市立図書館に『マクベス』含む数冊の本を返しに行った後、
家に帰ってから鞄を開けたら『マクベス』一冊だけが中に
残っていたことがありました。
それを私は「マクベスの呪い」だと名付けました。

そして後日、呪いの効果か、『マクベス』の古本まで買ってしまいました。
購買欲まで引き起こすか、マクベスの呪い・・・!!
ついでに横にある『あしながおじさん』まで呪い効果で買ってしまいました。
恐るべし、マクベスの呪い。

ちなみに今は「ダ・ヴィンチの呪い」にかかってます。
つまり、今度は『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』を返し忘れました。
・・・・・・・・・ふぅ。
『ぬしさまへ』畠中 恵(新潮文庫) ’06 4/25

評価;C

読了からもう一ヶ月も経ってる・・・。
えーと、『しゃばけ』シリーズ第二弾。
文庫になったということで、買っちゃいました。
今回は短編なので、読みやすいこと読みやすいこと。
しかし、今回始めて気付いたのですが、これってミステリーなの?
なんか簡単に人が死んで簡単に事件が解決してるような。
ミステリーだったのか・・・。

まぁ、可もなく不可もなくな作品でした。
もうちょいいろいろとひねりが欲しいかな。
『都づくし旅物語―京都・大阪・神戸の旅』長野 まゆみ(河出書房新社) ’06 4/21

評価;B

京都、大阪、神戸の各所で著者が遭遇した出来事と、
その土地(現地の子どもたち)の話、
いずれも小説で、このような話がいっぱい入った短編集です。

例えば舞台となっている土地は、京都・銀閣、大阪・万博公園、
神戸・北野など他多数です。

面白かったですよ!特に京都と大阪はよく行きますから、
舞台も想像しやすかったし、知っている土地が出てくる喜びがありました。

ただ、神戸って私はほとんど行ったことないんですよ。
両親に聞けばどうやら小さい頃連れていかれたはずなんですが、
案の定というかなんというか、全く覚えてないわけです。

そこで、この本をきっかけに、この間神戸に行って来ました。
とりあえず、「三宮駅から南に行ったら南京町、北に行ったら北野町」
という知識だけを頭に入れて。(笑)
ポートタワー、南京町(中華街)、北野町(異人館)を訪れて、
なかなか楽しみました。

帰ってからこの本を読むと、「北野」「旧居留地」「ポートタワー」
「メリケンパーク」の話がまた一段と面白く感じられます。

なかなか素敵な本。
『堕天使―悪魔たちのプロフィール』真野 隆也(新紀元社) ’06 4/20

評価;B

この本を読んでいる時、母から「あんた大丈夫か!?」と何回も
言われましたよ。(笑)
えっとですね、この本を読んだ理由は、
ヴィゴ・モーテンセンが「ゴッドアーミー/悪の天使」という
映画でルシファーを演じたからに他なりません。
あとは、某ヴィゴファンサイトの企画で旧魔王(ルシファー)藻、神父豆、
神蘭、現魔王(サタン)木、堕神父花、天使公、使役人狩etc
なんていう素敵設定の小説を読んだせいでもあります。(笑)

まぁ、それは置いといて。

悪魔にもそれぞれ個性(っていうか個別設定)があったんですね。
今までそんなこと気にしたこともなかったし、
悪魔にそんなに種類があるとは思っていませんでした。

異教徒が崇拝していた神々を悪魔に仕立て上げたのは、
とてもキリスト教らしいというかなんというか。
影響力のすごさに感心するしかありません。

そういえば、この間図書館で芥川龍之介の全集を読み漁ってた時、
ルシファーについて書かれた話を見付けました。
の授業の時間が迫っていてしっかりとは読めなかったんですが、
おそらく江戸時代のなんとかさんっていうキリスト教信者の日本人が
ルシファーに会った時のことを書いていたはず。
(古語だったからじっくり読まないと内容わからないんです・・・)
この『堕天使』の本にもありますが、この世には悪魔と出会った人ってのが
何人かいるようですね。
キリスト教信者、または悪魔研究者の元にしか現れないということは、
彼らの力はあくまでキリスト教関係者にしか及ばないんですかね。
この点からいって、私はやっぱり悪魔というのは、神に認められた存在、
つまり悪魔という役割を演じている(職業としている)何者かの
存在だと思うのですが。
例えば、天使と悪魔は抗争を繰り返しているらしいけれど、
それに神が手を加えることはない。
つまり、悪魔を滅ぼそうとしたら滅ぼせるにもかかわらず、
手を下していないということは、悪魔の存在を認めていて、
その上その存在が必要であると感じているからであると思われる。

ところで、ルシファーが堕天した原因は、
神に取って代わろうとした“傲慢”の罪と、
神が寵愛する人間に対する“嫉妬”だと言われる。
魔王相手にこう言うのもなんですが、後者だとなんだかとても
可愛く感じないですか?(笑)
人間を堕落させようとしたルシファーは、後に蛇に変身して
エヴァにりんごを食べるよう誘惑したらしい。
神の愛を奪った人間がよほど憎かったものと思われる。
もしかしたら自分の方を振り向いてくれなくなった神に、
「あなたがこっちを見てくれないなら、自分があなたの位置に座って、
あなたをいつも自分の側に置いてやるっ!!」とか思って
神の位置を狙ったのかもしれませんね。(笑)
いじらしいよぉ。(笑)

ヴィゴの影響で読んだ本であるため、感想(?)が全てルシファーの話に
なってしまってるのですが、他にもいっぱい悪魔が紹介されてますよ。
一番最初に名前は挙がっていますが、ルシファーはその一部に過ぎません。

知って得する本だとは正直思いませんが、
無駄知識が増える本ではあると思いますよ。(笑)

しっかし、悪魔・天使を始め、日本の八百万の神々に至るまで、
昔の人の想像力ってのはすごいですね。

「プロフェシー」が見たい。薔薇食べてる魔王びごが見たい。
心臓食べてるところはエロいらしい。
『しゃばけ』畠中 恵(新潮文庫) ’06 4/15

評価;B(や、正直BとCの間ぐらい?)

大学の友達から借りた本。
名前だけは聞いたことがあったのですが、
未だに読んだことはなかった本です。
友達の、「まるマのキャラクターに似てる」って言葉に
つられました。(笑)

言葉通りというかなんというか、キャラクターが魅力的です!
まるマ的に言えば、
一太郎→ユーリ
仁吉→コンラッド
佐助→ヨザック
ってところでしょうか。(笑)
(友達は佐助をグウェンダルと言い張ってますが。笑)

辛口なコメントになるけれど、正直話はそれほど面白くなかったりします。
なんか話が進まなさすぎてちょっとだるかった印象が・・・。
そこはキャラクターの魅力で乗り切りました。(笑)
でも、言い回しが古典的だったり、江戸弁が使われてたり、
江戸時代、商家についてもきちんとお調べになっているようで、
描写が甘いとは思わなかったです。

惜しむらくはテンポがないこと。
『ダ・ヴィンチ・コード(下)』ダン・ブラウン著 越前敏弥訳 ’06 4/9

評価;B

頭をついていかせるのが大変でした・・・。
登場人物がそれぞれ動きまくってましたからね。
でも面白かったですー。

ちなみに、『ダ・ヴィンチ・コード』での私の好きなキャラは、
アリンガローサ司教。苦労人で愛おしいです、この方。(笑)

・・・・・どうでもいいですが、表紙の「モナ・リザ」って
物語に関係ありますか・・・?
『ダ・ヴィンチ・コード(中)』ダン・ブラウン著 越前敏弥訳 ’06 4/13

評価;B

“彼女”(≠モナ・リザ)については似たようなことをテレビで
見たような気がするのですが、
それでも「驚き」と「なるほど」が繰り返されます。
『ダ・ヴィンチ・コード(上)』ダン・ブラウン著 越前敏弥訳 ’06 4/4

評価;A

確かSMAPが載ってるテレビ雑誌を買おうとレジに並んでいた
時にレジの横に『ダ・ヴィンチ・コード』の文庫が置いてあって、
思わず衝動買いしてしまったものです。(笑)
でも本当に面白い!!
まぁ、ネタバレしたら読んだ時全く面白いと感じないでしょうから
詳しくは書くつもりはないです。

美術にもキリスト教にもほとんど関心を持っていなかった
私が読んでも十分に楽しめました。
現在はこの本の影響で、美術やキリスト教に関する書籍を
読み始めています。

絵画の解釈については研究者によりそれぞれ違うようなので、
必ずしもこの本が正しいというわけではないとも思いますが、
(「岩窟の聖母」なんてキリストの位置さえ他と異なる!)
だからこそ他の絵画研究の本も読んでみて、
結局どの説が有力なのか、と調べてみたくもなる。

そういう絵画の解釈もこの本での醍醐味の一つですから、
もしかしたら予備知識がない方が一層楽しめるのかも?

映画ももうすぐ公開されますし、映画館に行くまでに本を
読んでおこうとされる方も多いと思われますが、
友人からのネタバレなどない方が断然楽しめますよ。
むしろ「先のことがわかってる方が安心して読めるからいいじゃん」と
常に思っているような、人からのネタバレ大好きな私が言うんだから
間違いないと思います。(笑)

また、ストーリーもテンポ良く進んでいくので、飽きることなく読めました。
『青空について』原田 宗典(光文社) ’06 3/27

評価;B

3月27日に読み終わってるのに未だに感想書いてなかったです。
今現在この本以後に読み終わった本が6冊あって、
そろそろ消化していかないと、と思いまして。

さて、『青空について』。
この本も一個前に読み終わった本『鉄路に咲く物語』と同じく
バイト先でもらった光文社の目録で見付けた本です。

実は挿絵はあまり好きじゃないんだけど、
詩はかなり好きです。

日常生活におけるふとした悩み、喜びなどの感情を上手く表現しているし、
著者自身だけでなく、おそらく人間全員に理解できるような悩み、
そしてそれに対する心の奥底の思い、
そういう共感できる内容の詩ばかりが書かれている。

自分が今何かに落ち込んでいるとすれば、
きっとその悩みにあてはまる詩がこの詩集の中に見つかるはず。
そしてちょっと励まされるはず。
『鉄路に咲く物語』西村京太郎選 日本ペンクラブ編(光文社文庫) ’06 3/27

評価;A

バイト先で、机の上に置いてあった光文社文庫の解説目録を
見付けて、「いいなぁ、これ!」とそれを羨まし気に見ていると、
社員さんが「いいよ、持って帰り持って帰り」と言ってくれたので
ありがたく喜んで持って帰りました。
で、家で解説を全部読んで、その中で面白そうなのをピックアップ。
読みたい本が載っているページの端を折ってチェックしていったのですが、
「文芸作品」のページは実際折った意味がないんですよね。
つまり、読みたい本がありすぎて、前ページ折っているから。
まぁ、その中でも特に読みたい本を挙げたわけです。

別に鉄道マニアでもなんでもないんですが、
解説の“「鉄道小説」アンソロジー”に惹かれて図書館で借りてみました。

面白かったですよ。
芥川龍之介、浅田次郎、綾辻行人、北村薫、黒井千次、志賀直哉、
西村京太郎、宮本輝、村田喜代子、山本文緒、E.ヘミングウェイの
作品が入っています。
純文学作者の作品、ミステリー、ホラーから外国作品まで、
盛りだくさんで、なんかお得な感じです。(笑)
それにどの作品も面白いし、一番好きな作品を決めるのも難しいですが、
あえて言うなら「汽車の旅」(E.ヘミングウェイ)かな?
いや、「鋼索電車」(村田喜代子)もなかなか・・・。
とにかくみんな良かったです。

飽きる間がなく終わるから短編集っていいなぁ。
『夜啼く鳥は夢を見た』長野 まゆみ(河出文庫) ’06 3/20

評価;C

まさに長野女史らしい本ですが、
読解力に乏しい私にはあまり理解できず・・・。

「沼に沈みたい」と思う人も多いそうなんですが。
『魚たちの離宮』長野 まゆみ(河出文庫) ’06 3/18

評価;A

今までいくつかの長野作品を読んできましたが、この作品が一番好きかも!
透明で静かで涼しくてちょっと怖いこの雰囲気大好き!!
とか言いつつオチ(ラスト)がわかってなかったりするんですが。(笑)

以下ちょっとネタバレなような気がします。
お気を付けください。

さてさて、不思議な夏宿が死んだ理由。
・市郎が蛍狩りに遅れたから
・弥彦曰く、ピアノ教師が夏宿を池に突き落としたから
・市郎曰く、弥彦が夏夜を池に突き落としたから
これらを踏まえた上で、夏宿が死んだ理由を検証してみる。

一、ピアノ教師が殺した。
弥彦からの「直接見た」という証言があるから、これもありうるけど、
主人公である市郎が最後の最後に「弥彦が夏宿を池に落とした」と
言っていることから、弥彦説の方が有力であると思われる。

二、弥彦が殺した。
しかし、弥彦本人に夏宿を殺す理由は見受けられない。
弥彦はピアノ教師に洗脳され、自分が夏宿を池に落とす実行犯に
なったにも関わらず、それはピアノ教師がしたことだと思いこんでいるのか。
(ただしこの説の場合、ピアノ教師のメリットは謎)
または弥彦がピアノ教師と同様の狂気じみた愛を兄に抱いていて、
殺すことで兄を手に入れたかったのか。
ピアノ教師と弥彦の利害が一致した。
そのためピアノ教師につけいられ(洗脳され)、実行犯になったか。

三、二人が間接的に夏宿を殺した。
ピアノ教師は夏宿にストーカーのようにしつこくつきまとっていた。
夏宿にはそれが苦痛だった。
しかし弟は、ピアノ教師に洗脳され、ピアノ教師の手先(?)になって
夏宿に嫌がらせ(弥彦本人はそうは思っていない)をする。
例の夜、味方である市郎はやって来ない。
夏宿はどうしようもないところまで追いつめられて、自分から池に入った。
直接ではないけれど、間接的にピアノ教師と弥彦が夏宿を
殺したことにはなる。
しかしこの場合、市郎にも夏宿を助けられなかった罪が存在する。
だから、市郎の最後の台詞が、
「夏宿を池に落としたのは僕なんだ。」になる可能性高し。
それが、弥彦に限定されている。

二の後半の説が有力かと私は思うけれども、さてどうだろう・・・?

読解困難な作品ですが、考えれば考えるほど面白い作品でもある。
とにかくこの雰囲気が好きです。
あ、でも夏の夜に読むのにはちょっと怖いかも。(笑)
『王都妖奇譚―哀戀女鬼』新生 璃人(秋田文庫) ’06 3/17

評価;C

漫画『王都妖奇譚』のノベライズ版第二弾。
うーん、やっぱり漫画の方が好きかな。
この内容は絵で見たい。

『王都妖奇譚』の晴明は人間味溢れる晴明ですね。
夢枕獏先生の晴明とは全く違う描かれ方をしています。
私としてはこの晴明も大好きですけどね。
(そもそも陰陽師にはまったのってこの漫画がきっかけだし)
『ブロークバック・マウンテン』アニー・プルー作 米塚真治訳(集英社文庫) ’06 3/8

評価;B

本年度アカデミー賞で三部門、ゴールデングローブ賞で
四部門受賞した話題の映画の原作です。

1963年夏、ブロークバック・マウンテンの羊番と
ベースキャンプの管理人として雇われて出会った
イニスとジャックは、出会った途端に互いに惹かれていく。
しかし、二人は幼い頃父親から植え付けられた心の傷を抱えている。
そのため同じ愛を共有していても、向き合う姿勢が異なり、
二人の関係に徐々に距離が生まれていくことになり・・・・・。

という話。

私はイニスとジャックとどちらも好きなのですが、
一歩離れて見てみると、二人が二人とも、結局自分のことしか
考えてないような気もするのも事実。
でもそれはやっぱり心の傷が問題なんですよね。
「確かにそんなことされたら、そういう考え方するよな」と納得も出来るし。
まぁつまり、同性愛だとしても積極的なジャックと、
あと一歩が踏み出しきれないイニスの違い。
だからこそ最後は辛かったなぁ・・・。

比喩や格言や地方的な俗語を多用した文章も独特で、面白かったです。

この映画を見に行きたいと思うのですが、内容が内容なだけに
誘う相手が見つからないんですよね。(苦笑)
だからといって一人で見に行くようなもんでもないし。
やっぱりレンタル待つしかないかぁ・・・。

ヴィゴ・モーテンセン主演の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」も
見に行きたいと思ってるのですが、近所の映画館では全く放映しない上に
R-15ときたもんで、これもレンタル待つしかないかと諦めかけてます・・・。
悲しいけれど・・・。(泣)

雑誌「スクリーン」での二人のインタビューを読みましたが、
お二人さん余程男同士のキスが嫌だったのね。(笑)
ヒース(イニス)「ジェークとのキス・シーンを夢中でした後、お互いのヒゲが摩擦しあって、顔が真っ赤になってヒリヒリした時は、やっぱりソフトな肌の女性の方が良いなあと思ったり。」
ジェーク(ジャック)「ラブシーンはかなりこなしてきたが、今回は苦しかったね。最初のキスは無我夢中だから、何とかアクション風にやれたけど、あとの方の愛情ほとばしるキスにはてこずった。目をつぶり、感情を高めて、絶対にヒースをもろに見ないようにしてね。」
そういえば、ヒースは映画の中で妻役を演じていた女優さんと
結婚されたそうです。
この映画のテーマは「同性愛は誰にでも起こりうる」だと思ってたんですが、
なんとも皮肉で面白い話ですね。(笑)
『陰陽師 鳳凰ノ巻』夢枕 獏(文春文庫) ’06 3/7

評価;B

晴明vs道満の話がいくつかあるこの巻。
短編集なので毎回毎回感想が同じようなものになるんですよね。
ってことで今回は割愛・・・。
『ウェディングバンケット』今野 雄二(マガジンハウス) ’06 3/3

評価;−

サイモンは恋人の台湾人青年ウェイトンと共に
ニューヨークで同棲生活を送っている。
しかし、なかなか結婚しない息子にウェイトンの両親は
見合い相手を送ってくるなどして結婚を迫る。
ウェイトンは両親に自分が同性愛者であることなど打ち明けることが
出来ない。
そこでサイモンは、ウェイトンと、知り合いのアメリカに不法滞在している
中国人女性・ウェイウェイとの偽装結婚を計画する。
ウェイトンの両親がアメリカにやってき、二人は結婚式を挙げ、
夫婦として振る舞っていたが、しかしウェイトンとサイモンは
徐々にすれ違いが生まれてきて――。

という話です。
ほんと、市立図書館ってどんな本でも置いてありますねー・・・。
元は映画で、それを小説として書いたもののようです。

世の中にはBLという“女性向け”の男性の同性愛を
取り扱った作品が多くあります。
あくまで“女性向け”です。
が!この作品は、男性の同性愛を取り扱っているけれども、
おそらく“女性向け”ではない!
おそらくおそらくこれは“男性の同性愛者向け”だと思う。
なんか違うんだ、これが!上手く言えないけど!

だから、私がこの本にたいしてどうこういうことは出来ないと
思うんですよね。同性愛を認める認めないにかかわらず
正直なところ私には関われない世界ですから。

一応読書記録には入れておきますが、感想は省略します。

そういえばこの間、yahooで友情をテーマにした小説を探している時に、
ゲイサイトに迷い込んでしまったことがあって、
あの時は本当に焦りました・・・。
最初は「なんだ?ここ」とか思っていろいろクリックしてたら、
ギャーーーーーーーーってなもんでした。
なんだろう・・・・・カルチャーショック・・・?(聞くな)
いや、でも同性愛に偏見は持・・・・・・・ちたくない・・・・・
と思・・・・・・・いたいと思います・・・。(断言できなくてすみません)
人間の10人に1人は同性愛者であることは知っています。
周りにそういう人がいても不思議ではないことは
わかっているのですが・・・。
・・・ごめんなさい、正直な気持ちです・・・・・。

うーん、なんか生々しい話になってきたなぁ・・・。(汗)

じゃあ、私が今読んでいる他の本のご紹介。
「陰陽師 鳳凰の巻」
「指輪物語 旅の仲間 下1」
「アーサー王と円卓の騎士」
・・・・・色気がないですね。(フォローになってない)
ちょっと恋愛小説が読みたくなってきた今日この頃。
(でも、現代を舞台にした小説ってあんまり好みじゃないんです)
歴史物、またはファンタジー物で恋愛小説のおすすめってありますか?
できれば女性を主人公に。しかもきっぱりさっぱりした精神的にも強い女性の。
っていうか、どなたかジャンヌダルクを主人公にした小説で
おすすめのものご存じないですか?
昔から読みたいと思ってるんですけど、なかなか出会わないんですよ。

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